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波多江 仰紀; 内藤 磨; 北村 繁; 佐久間 猛*; 濱野 隆*; 中塚 正大*; 吉田 英次*
Journal of the Korean Physical Society, 49, p.S160 - S164, 2006/12
誘導ブリルアン散乱位相共役鏡を応用し、トムソン散乱計測の測定性能改善を図った。液体フロン化合物を用いた位相共役鏡はレーザー平均出力145W(50Hz)の入力で95%以上の反射率を示した。トムソン散乱への直接的な応用としては、位相共役鏡によりレーザービームを往復させ、迷光を著しく増加させることなく散乱光を倍増させる手法(ダブルパス散乱)を開発した。初期実験ではJT-60に位相共役鏡を取り付けダブルパス散乱させた結果、散乱光を1.6倍に増加させることができた。ダブルパス散乱を発展させ、一対の位相共役鏡間にレーザー光を閉じ込め、数倍以上の散乱光を発生することができるマルチパス散乱も考案した。また、散乱光のS/N改善のため、位相共役鏡を既存のレーザー装置に組み込み、レーザー装置の高出力化を行った。位相共役鏡は高出力増幅器で誘起される波面歪みが効果的に補正し、レーザー出力が当初の8倍を超える368W(7.4J50Hz)に到達した。この結果からITERの周辺トムソン散乱用レーザーで必要とされる5J, 100Hzの出力を得る見通しがついた。これらを踏まえ位相共役鏡を搭載した、最適化されたITER用レーザーシステム、さらに高空間分解型LIDARトムソン散乱用レーザーシステムの設計・検討を行った。
波多江 仰紀; 近藤 貴; 内藤 磨; 中塚 正大*; 吉田 英次*
Proceedings of 12th International Symposium on Laser-Aided Plasma Diagnostics (LAPD-12) (CD-ROM), 6 Pages, 2005/09
JT-60の近年のトムソン散乱計測の開発研究について報告を行う。非協同トムソン散乱計測では、誘導ブリルアン散乱位相共役鏡を応用し、トムソン散乱計測の測定性能改善を図った。トムソン散乱への直接的な応用としては、位相共役鏡によりレーザービームを往復させ、迷光を著しく増加させることなく散乱光を倍増させる手法(ダブルパス散乱)を開発した。ダブルパス散乱を発展させ、一対の位相共役鏡間にレーザー光を閉じ込め、数倍以上の散乱光を発生することができるマルチパス散乱も考案した。散乱光のS/N改善のため、位相共役鏡を既存のYAGレーザー装置に組み込み、レーザー装置の高出力化も行った。位相共役鏡は高出力増幅器で誘起される波面歪みを効果的に補正し、レーザー出力が当初の8倍を超える368W(7.4J50Hz)に到達した。これを踏まえ位相共役鏡を搭載した、最適化されたITER用レーザーシステムの設計・検討を行った。また、JT-60では核燃焼プラズマのイオン温度や高速粒子の振る舞いを測定する炭酸ガスレーザを用いた協同トムソン散乱計測の開発を行っている。初期実験結果に基づきレーザーの縦モードの質,ヘテロダイン受信機の電気ノイズの低減,光軸調整の改善を進め、2005年冬から始まるJT-60実験では改善された計測装置で測定を行う予定である。
波多江 仰紀; 中塚 正大*; 吉田 英次*
プラズマ・核融合学会誌, 80(10), p.870 - 882, 2004/10
高性能の誘導ブリルアン散乱(SBS)位相共役鏡を、初めてJT-60のトムソン散乱計測システムへ応用し測定性能の改善を図った。SBS位相共役鏡は一般の全反射鏡と異なり精密な光学調整を必要とせず、比較的簡単な位置合わせを行うだけで反射光が入射光と全く同じ光路を逆進する。この性質を利用し、プラズマ中でレーザー光を往復させ散乱光量を約2倍にするダブルパストムソン散乱測定法を開発した。初期実験では1.6倍の散乱光を観測し、この測定手法の有効性を確認した。さらに、この手法を発展させ、レーザー光を何度も往復させ散乱光を数倍以上発生させるマルチパストムソン散乱法も新たに提案した。一方、既存のYAGレーザーに組み込むことにより、レーザー増幅器で誘起される波面の乱れを補正しダブルパス増幅を行った結果、YAGレーザーの性能は[エネルギー:1.5J,繰り返し:30Hz,平均出力:45W]から[7.4J, 50Hz, 368W]となり、著しくレーザー性能を向上することができた。将来展望として、このレーザーシステムをITERのトムソン散乱計測へ応用することについて考察した。